君を刺激したいんだ

「ヒゲ...。」
彼女の不機嫌そうな声が、
カラっぽの頭を左耳から右へと通り抜けていく。
けど、とりあえず目はあわさないまま、今夜の食材を探して....と。
「剃ってくるって昨日言ったよね？」
...。
いや映画を見に行くって言ってたからさ...。
さすがにココまで伸ばしたヒゲじゃ人相悪いじゃん？って思ったわけで...。
ほら、でも今日は家でピザを焼くだけだから別にいいかなぁ...って思ったわけさ。うん。
もう、生地も醗酵してるしさトッピングして焼くだけだし...。
と話をそらしたのは一昨日の事。

伸ばし始めて丁度二週間。
ほら、前も言ったけど僕の家系の男は、頭を剃るか（はげるか）ヒゲを蓄えるかしなきゃならないみたいだし。
聞いたこと無いけど、法事のときみんなそうだったんだよ。
きっとそのうち、床の間に正座したりして親父の前で家訓とかといっしょにヒゲお手入れセットとか渡されるんだよ。
とか繰り返しもっともらしく言ってみるけれど。
本当は、ただ単にめんどくさいだけなんだ。
チクチクするのはお嫌いですか？
デリケートな部分があれちゃう？

だめ？
剃るように努力します。
でも、ちょっともったいないかなぁ。

ん...。
あとね、ヒゲを抜こうとする君の腕を捕まえてベタベタできるんだけどなぁ。

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【君を刺激したいんだ】
A Day In The Lifeより
　　Music By.THE BEATLES
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